組み込みエンジニアの日常

組み込みエンジニアの雑記ブログ。趣味/仕事/IT資格勉強など。

アップグレード(2018)【ネタばれなし映画レビュー】

映画レビューです。

ネタばれなしなので、見てない人もご安心を。

アップグレード(2018)

映画館

アマゾンプライムビデオでお勧めに表示された作品。

とても面白かったので紹介。

※プライムビデオのリンクは記事の最後です。

映画情報

タイトル(原題):

 アップグレード(UPGRADE)

年代:

 2018

時間:

 約 1時間40分

監督・脚本(代表作)

 リー・ワネル(「ソウ」シリーズ)

制作(代表作):

 ジェイソン・ブラム(ゲット・アウト)

主演(代表作):

  ローガン・マーシャル=グリーン(プロメテウス)

ジャンル ※タグ形式 :

 【SF】【アクション】

公式サイトリンク:

upgrade-movie.jp

※私個人は、映画視聴前に予告映像を見ることを推奨しません!

感動や驚きが薄れます。

あらすじ(公式サイトより)

近未来。グレイ・トレイス(ローガン・マーシャル=グリーン)は妻のアシャ(メラニー・バレイヨ)と仲睦まじい日々を送っていた。しかしある日、謎の組織に襲われ、最愛の妻を失い、自身も全身麻痺の重症を負ってしまう。失意の中、巨大企業の科学者からある提案をされる。彼の目的は、実験段階にある「STEM」と呼ばれる最新のAIチップを人体に埋めることだった。手術の結果、グレイは再び体を動かすことができるようになる。そればかりか、「STEM」に身をゆだねると人間離れした動きができるようになり、人間を超越した身体能力を手に入れてしまう。さらに、「STEM」は頭の中の相棒としてグレイと対話するようになる。身体能力を<アップグレード>されたグレイは手に入れたこの力を駆使して「STEM」と共に妻を殺害した組織に復讐を誓うのだがー。

レビュー

個人的な総合点数(100点満点)

 85点

レビュー環境

視聴環境(映像/音声):

 自宅プロジェクター/2.1ch

視聴メディア(ソース/解像度など):

 AmazonPrimeVideo/フルHD

視聴時の言語(音声/字幕):

 英語/日本語字幕

レビュー時の視聴回数:

 1回

感想

 映画をよく見る近未来SFアクション好きは、無条件に見るべき。映画を見ない人でも、少年漫画的な展開が好きな人は、見ても損はない。ただし、大作映画のような壮大な映像は期待しないこと。

 見どころはシナリオとアクションシーン。「不随の主人公と、体を動かすAI」という設定を生かした格闘シーンや、サイボーグ化した敵との戦闘はTPS的なカメラワークが生かされており、非常に迫力がある。AIと主人公の掛け合いも楽しめる。(しかも主人公は声を出さないとAIとコミュニケーションできない)

 互いに依存しながらも、時には暴走する。果たして復讐は果たせるのか?敵の正体は?リー・ワネルとジェイソン・ブラムの魅力が堪能できるお勧め作品。

 

要素評価(5段階評価)

アップグレードの点数

シナリオ・構成 5/5:

 SFアクションが好きであれば、間違いなし。非常にテンポが良く、1時間40分の間で起承転結がちょうどよくまとまっていると思う。主人公が思いがけず復習に走る過程も違和感なく描かれているし、意味深なカットはすべて伏線として後半に回収されるため、満足感がある。主人公・または視聴者への皮肉的な主張も入っている。

 また、低予算アクションにありがちな、「設定やアクションは面白いが、予想通りのオチ」「投げっぱなしエンド」ではない。そのまま着地するかと思いきや、しっかりと2回転くらいのひねりを入れてくる。ここはリー・ワネルとジェイソン・ブラムのタッグのため、安心してほしい。

文句なしの評価5。


映像・構図 5/5:

 非常に凝っている。まず大前提として「低予算SFアクション」であるため、「壮大な映像美」や、「近未来の巨大都市」といったCG/VFX映像は期待しないほうが良い。しかし、AIに体を操作されているときの映像効果について、観客を驚かせよう/映像を楽しんでもらうという意図はよく伝わったし、CGの粗さ等は一切感じなかった。

 AIが主人公の体を操作している間や、重要なアクションシーン時に、カメラが「TPSゲーム風」になる。これはぜひ実際に見てもらいたいが、3人称視点で「ジンバルを使った風」「GoPro映像風」としか形容できない。この手法の名前があれば教えてもらいたいが、とにかく特徴的で面白い効果を生んでいる。(AIに体を動かされている感が良く出ている)

 低予算映画で省略されがちな映像を、しっかりと見せるのも特徴。車の事故シーンや主人公にAIチップを埋め込むシーン、人を殺すときの残酷描写など、結構はっきり映像化している。冒頭の車事故シーンは非常に痛そうだ。

評価5。


舞台設定の説得力 4/5:

 「近未来」というよりは、「数年後」のイメージで視聴したほうが良い。結構ステレオタイプな世界だ。

・自動運転のEV車が発達し、ガソリン車は趣味用。

・監視ドローンが飛んでいる監視社会。

・貧富の差が拡大

・アレクサやSiriのようなナビゲーターが一般化するが、完ぺきではない。

⇒AIは進んだ技術

・デジタル嫌いの人がいる。

特におかしさは感じないので、評価4。


キャラクター・装置 5/5:

 主人公、AI、関わる警官、敵、どれも良いキャラクターをしている。一点、敵組織の強さについては個人によってばらつきが大きく、良くわからなかったが、重要なのは個人的な復讐劇なので、背景の大きな世界は重要ではないだろう。

 装置としては、デジタル技術とアナログ技術、低レベルなナビとAI、VR世界と現実世界という対比が良く利用され、それが映画のオチに繋がる視聴者のミスリードに一役買っていると思う。

 敵は基本的にサイボーグ化されているのだが、「手に銃が埋め込まれている」「見た映像がデータで記録されており、死んでも取り出せる」程度で、SFマンガでは定番な機能のため、驚きは少ない。腕にはライフルが埋め込まれているようだが、結構連射するので「薬きょうは...」とか「腕焼けるだろ...」とも思ったが、これはどうでも良い。レーザーガンなどは登場せず、警官もハンドガンにテーザーだ。ボスはこれよりも少し高度化されている。

 ありがちな「ハッカー」なども登場し安っぽい展開にならないか不安になったが、全員が論理的に行動するので、イライラせずに視聴できる。一番嫌いなのが「ストーリーの都合上で死ぬ必要があるので、いきなり非論理的な行動や、馬鹿な行動をし始める」ことなのだが、これがないので安心できる。

評価5。


キャスト・演技 4/5:

 主演の「ローガン・マーシャル=グリーン」が、少し「トム・ハーディ」に似ており、最初勘違いしていた。この映画は主演の演技力勝負のところがあると思うが、アクションシーン、その他、良い演技だと思う。撮影を想像すると、現実には存在しないAIとの掛け合いや、パントマイム的な日常動作(ロボコップ風)、アクションシーンともに大変だっただろう。序盤、主人公が不随になり母親に介護されて嘆くシーンは、結構印象的だった。主人公以外のキャストは全員知らない俳優・女優だったが、登場人物が少ない映画のため、結構印象に残ったかもしれない。

評価4。


音楽・サウンド 4/5:

 サウンドが特徴的。アクションシーンで、あからさまに「今!AIに体が動かされてます!」風な効果音がなるため、少し面白いが、アクションシーンのインパクトが強いため、これくらいがちょうど良い。視聴者としては爽快。その後、「そこまでやらなくていい!」と思うところまでAIが暴走するところまでがお約束だ。

評価4。


アクション 5:

 格闘シーンが最高。かってに命名すると、「AIマーシャルアーツ」。

ダンスやパントマイムを見ているようなアクションである。主人公の意思に関係なく、AIが体を動かすので、重心が動かない手足だけの最小の動きでの格闘になる。「マトリックス」や「リベリオン」のような大げさなアクションやカンフーも好物だが、こちらの格闘も映像との相乗効果で非常に楽しめる。これはぜひ作品を見て確認してほしい。

主人公のパワーまで急に強くなるように見えるが、そこは気にしないでおく。

評価5。

その他の観点

性的描写は?:

 直接的なものはなし。導入部分、自動運転車のなかでヒロインといちゃつく程度(その後、敵に襲われるお決まりパターン)なので、個人的には家族で見てもセーフ判定。妻、冒頭に殺されるが性的に乱暴とかはなし。

暴力描写は?:

 全年齢向けではあるが、結構残酷描写あり。また、人も結構死ぬ。

主人公の手術描写、敵の頭を銃で撃ちぬく描写(はっきり)、敵をナイフで拷問する描写などがあり。

デート向け?:

 SFアクションに興味があり、かつ映画見るカップルなら、短いし爽快感があるので〇。ジャンルに興味ない人や、少年漫画を小馬鹿にするタイプは楽しめないので×。

ファミリー向け?:

 微妙。中学生男子と父親という組み合わせならお勧め。

1人向け?:

 楽しめる。必ずコーラやポップコーン、ポテチなどを準備すること。

劇場?ソフト向け?:

 小さい画面でも楽しめる作品。アクションシーンが魅力なので、繰り返し見られるソフトは向いている。

この作品が気に入ったらこれがお勧め!

 ハードコア(2016):

 全編一人称視点で描かれる意欲的な作品。大画面で見ると画面酔いで気分が悪くなる人も居ると思うので注意。

サイボーグ化した主人公のアクションという共通点あり。こちらのほうがタイトル通りハードコアな内容。

エクスマキナ(2015):

AIが題材だが、アクションではない。非常にスリリングなストーリー展開と、とてもきれいな映像(CCというより、画面構成や色彩の話)が魅力。アップグレードのオチが好きな人は、気に入るのではないか。

 ロボコップ(1987)(2014):

オリジナルは言わずと知れた低予算SFの名作。バーホーベンの悪趣味な魅力が爆発している。リメイク版は評価が低いが、個人的には好き(悪趣味さや、引用される曲など)。

鉄男(1989):

最後に日本映画の低予算SFを紹介。

「霧島、部活やめるってよ」の作中でも出てくる作品。

手が銃と言ったら、「サムス」「ロックマン」「鉄男」。

物好きは見ること!続編やリメイクもあり。

AmazonPrimeVideoリンク

2020/07/18時点で、プライム会員は無料で視聴できます。

以上

(LOG.065)

 

記事の最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

読者登録いただけると嬉しいです。